「趣味とか無いんだよね」
よく聞く言葉だが、とっても羨ましい……。
いや、御幣がある。
多趣味な自分からすれば趣味が無い人生なんて考えられない。
空いた時間を何に使えば良いか、抜け殻になってしまいそうだ。
とはいえ、自慢できるような趣味などなく、広く浅く手広く楽しんできているので、なんというか……
金がかかる。
これに尽きる。
そういった意味で“羨ましい”のだ。
趣味によってもお金のかかるものから、かからないものまでたくさんあるが、趣味が多ければ多いほど、悲しいかな、比例して対価が必要となってくるものなのだ。
ましてや、時間も有限だ。
どの趣味にどれくらいの時間を割けば良いか……考慮しなければいけないのはお金だけではないのだ。
学生だろうと、社会人だろうと、主婦だろうと、収入と収支のバランス(初めての○○的な~)を考えなければいけない。
これも趣味の辛さであり楽しみでもある。
なんと哲学的。
さて、そんな無駄話はさておき、今日はお勧め漫画『げんしけん』のお話。
『げんしけん』って?
原作者は木尾士目先生。
『月刊アフタヌーン』(講談社)誌上にて、2002年6月号から連載開始。2006年7月号まで5年にわたり連載され、同年の12月号より『げんしけん 二代目』と題し再連載開始。今なお連載され続けている大人気漫画です。
アニメ化もされ、原作第1話「現視研」から第22話「げんしけん誕生」まで描いた全12話。
更に、OVA版が全3話。待望のシリーズ第2期も全12話で放送。
(第2期は原作と少し相違があり、オリジナル要素が濃い。)
作品概要
『げんしけん』とは物語の舞台となる大学のサークル「現代視覚文化研究会」の略語で、主人公達の入会、半休止状態から次第に活気を取り戻す様子を描いた、オタクの日常をリアルに描くコメディ漫画。
『げんしけん』最終話近くから『げんしけん 二代目』(現在)にかけては、オタク話よりもラブコメ色が強くなっており、『げんしけん』では男性オタク目線が強かったが、『げんしけん 二代目』では女性会員がサークルを占めていることから、女性目線が強くなっている。
『げんしけん』の魅力とは?
『げんしけん』の1巻を見ると、時代を感じる絵のタッチにビックリすると思います。
今でこそオタクの聖地として崇められるほどになり、駅前もとってもキレイになった秋葉原ですが、そんな秋葉原が電気街から、同人、アニメ、メイド喫茶などオタクの聖地とめまぐるしく変貌していった中での作品だったので、当時、そんな街にドップリ浸かっていた私にとっては、その描写に惹き込まれていきました。
そもそも「オタク」という言葉は、“○○オタク”というように、自分の好きな事柄や興味のある分野に、極端に傾倒する人を指す呼称です。
それがいつしか、アニメや漫画などを嗜好に持つ人々に対する呼称の代表として呼ばれるようになりました。
当時は、そういったものが今より一般的で無かった為、「オタク」というのはマイナスのイメージが定着していました。
そんな「オタク」達がそのような時代の中、我が道を行き、好きな嗜好をとことん突き詰め、改革が起きていた時代に描かれた作品なのです。
つまり、『げんしけん』を読めば、「オタク」の魅力が十二分に分かると“私は”思います。
わからなくても(笑)、「オタク」の世界を簡単に垣間見れるのでとても楽しいですよ!
そんな『げんしけん』の魅力を掘り下げていきます。
オタクの理想郷
『げんしけん』は前記しました、「現代視覚文化研究会」というゲームやアニメ、漫画などの現代の視覚文化について研究していく(という名目の)オタクサークルが舞台になります。
主人公(的な)ポジションである笹原完士は、興味はあったけど、中々その世界に踏み込めないでいる俗に言う“一般人”。そんな彼が、「現代視覚文化研究会」というサークルに入会するまでの葛藤や、自分をさらけ出せる仲間を見つけどっぷりオタクに染まっていく様が描かれています。
登場する人物は個性豊かなオタク達。
ぶっちゃけ…、
「こんなに性格が良くて、最高なサークルなんてねぇよ!」
というのが大半の思いでしょう。
大学のサークルなんてどこも色々な問題が起こるものです。(大抵は恋愛沙汰で崩壊するパティーン)
余談ですが、
『げんしけん』の単行本9巻に限定で付いていたドラマCD「現代視覚文化研究会活動記録」にて、一期のアニメキャラを担当した声優達のインタビューがあります。
そこで、久我山光紀の声優を演じる乃村健次さんが、自身の大学サークルの話をしていたのが印象的です。あれが全てを物語ってます。
ですが、「現代視覚文化研究会」は多少の問題はありつつも、なんやかんや仲良く過ごす様がとっても楽しげです。
『げんしけん』の準主役である斑目晴信は、「好きなことには饒舌になっちゃうんだよ」という名言を言います。オタクは自分の好きなことを主張したがる癖というか習性があります。
これは自慢(人によってはそれもある)とかではなく、好き過ぎて、それをなんとかして説明しようとあれやこれや魅力を伝えたくなってしまうのです。
これはかなりの“あるある”です。
そして、これって結構、時と場合によってはウザいですよね。
だからどうしてもオタクな人って良い意味でも悪い意味でも一癖や二癖もある人が多いと思います。
でも『げんしけん』のキャラクターってそんな個性を色々持っていながらうま~くまとまっているのです。
こんな奇跡なかなかないし、こんな仲間が欲しいとオタクなら一度は思うと思います。
そしてそんな仲間が現実にいるのなら、あなたは幸せものです。
一生大事にして下さい。絶対に!!
ちなみに、木尾士目先生は人間のリアルな心理描写を描くのがとても上手です。
『げんしけん』ではリアル過ぎずギリギリのライン……あくまで、二次元の世界である絶妙なラインを描いているからこそ魅力的なのだと思います。
そういった模様を作品の中でも描いているのが凄いです。
読んでる自分を読んでるような、それでいて、それが理想な自分なのです。
オタクと付き合うということ
今でこそ「オタク」という言葉が一般的に受け入れられるようになりましたが、それでもこの言葉だけ聞いて嫌悪、偏見を持つ人が未だに多いというのは現状です。
漫画やアニメに限ったことではありませんが、何かに物凄く突出した趣味を持っている人って、それに興味を持たない人からしてみれば、何が楽しいかわかりませんよね。
私も漫画やアニメは好きですが、サッカーなどは全くわかりません。
キッカケさえあって、教えてもらえば好きになるかもしれませんが、興味を持たなければ一生付き合うことはないかもしれません。
が!
その趣味を持った人間と関係を持つことは男女問わず、大いにありえます。
友達や恋人、会社の同僚や上司。
生きていく上でコミュニケーションをとっていく人、全てにそういった趣味があるかもしれなく、お付き合いしていくわけです。
まぁ興味がない分野に無理して突っ込む必要性はないと思いますが、それがあなたの親友だったら?恋人だったら?
ここで勘違いをして欲しくない点が、“必ずしも共有しなくてはいけない”ということではありません。
大事なことは受け入れること!
あの人は二言目にはカメラの話!
彼はカメラの話をしたら止まらない。
あの子、映画の話ばかりしてるよね
でも、彼が、彼女が人間として好き。
それなら受け入れることです。
前置きが長くなりましたが、『げんしけん』では一般的なサークルらしく色恋沙汰があります。(オタクの話の割には結構ラブコメが占めているという)
オタク同士、非オタとオタクのカップル、様々なカップルが生まれます。
オタク同士だからって全てが分かり合えるわけではなく、ましてや、非オタク(むしろ嫌悪してる)な方には理解しがたい世界を受け入れることは容易ではないことです。
そういった葛藤や人間模様も『げんしけん』ではギリギリのラインで描かれています。
「うまくいきすぎじゃない?」
「オタサーで実際こんなことないから!」
漫画ならではということは否定できませんが、一人一人がどう立ち回って受け入れ過ごしているのか……そういった人間ドラマも『げんしけん』の見どころであり、勉強にもなる点です。
もし!何オタクでも良いのですが、オタクの人の気持ちが理解できないという方にも読んでもらいたい漫画です。
少し見方が変わると思いますよ!
恋愛シュミレーションのようなラブゲーム
先ほども記載したように、『げんしけん』では後半から『げんしけん 二代目』にかけてラブコメ色が強くなります。
その主ともなる人物が『げんしけん』の愛されキャラであり、オタク代表的な存在でもあるので、見ていて楽しいのですが、恋愛と無関係で生きてきた人間がまるでゲームでもしているかのように流れていく展開が見ていてとてもドキドキします。それは決してゲームでは無いから……。
でも、
『げんしけん』は漫画です。
そこのさじ加減は、とても絶妙で流石と言えるべき作品です。
木尾士目先生は本当に人間の心理を捉えかた、描写が上手だと思います。
アニメ版もお勧め
アニメ版は一期は原作に結構沿っている点や声優陣も豪華で、評価も高かった気がします。
二期は少しオリジナル色が強く、声優陣が一新したので、一期のファンにとっては“ん?”となった方も多いようですが、オタクアニメらしいパロディが満載で、アニメ好きならニヤニヤしてしまう演出も多く、見ていて面白いです!
当時、二期の一話は物語シリーズの後に放送されていて、一話に間接的な友情出演していた気がします。
またOPも某ロボットアニメのパロディで凝ってるなーと感心しました。
『げんしけん』ってそんな人気あったのかと思ったほどです。(ごめんなさい)
『げんしけん 二代目』も好評なので、この調子でいけば、もしかしたら三期もあるかもしれません。
という期待を込めて……
しめたいと思います。
ちなみに私は班目が大好きです。
「マダラメソーウケー」
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